特集3
小川 正波 (工芸)
〜のびやかでしなやかな鍛鉄〜
小川正波(1911年〜1975年、茅野市出身)の鍛鉄作品の特徴は、鉄パイプがしなやかでのびやかなラインを描いていることである。鍛鉄とは、鉄を加熱し叩いて形を作っていく手法を指す。小川は、鍛鉄という技法でしなやかでのびやかな鉄のラインを作りだし、極限まで抽象化された鳥や動物などを表現した。その作品は、どれも鉄の冷たさを感じさせない。

作品「とまる」のなめらかな曲面は、ユーモラスな存在感とともに、ある種のエロティシズムを感じさせる。また、二羽の鳥を阿吽(あうん)の状態で表現した作品「鳥影」ののびやかなラインには、羽ばたこうとする鳥の豊かな生命力が託されているかのようだ。

小川正波は、日展委嘱作家として活躍するかたわら、宝飾デザインの研究も深めた。この研究が、彼の独創的な抽象表現の創造につながっていったといえる。

[略歴] 
1911年、茅野市に生まれる。
1931年、東京美術学校(現東京芸大)工芸科鍛金部に入学。石田英一氏、
染谷一香氏、三十尾安太郎氏、菅沼宗春氏に師事。
1935年、東京美術学校在学中に文展初入選。
1948年以後、日展に毎年連続出品。
1963年、日展特選北斗賞受賞。
1965年、日展出品委嘱作家となる。
1968年、現代工芸美術家協会会員。同年から3年、ヨーロッパの美術視察。
1972年、東南アジアの美術視察。第4回日展に出品委嘱で「風」を出品。
1976年、第8回日展に出品委嘱で「夜明けのリズム」を出品。
1977年、逝去。
 
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